望月の歌
今年の共通試験の古典で源氏物語が出たというのはすでに書きましたが、今年の明治学院大学の入試に「望月の歌」が出ました。
この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば
望月の歌は藤原道長が歌った歌ですが、これを大河ドラマを見ていた子たちは道長が「この世は私のものだ」と歌った歌ではないという事は考えたはずです。
この歌には2つの解釈があって、大河の脚本家さんは、別の解釈の方を採用していました。
私もそちらの解釈が正しいと思っているのですが、「この世」=「この夜」といった掛詞で、「今夜はいい夜だなぁ」って意味と捉える事ができます。
なぜそう思うのかというと、この歌を詠んだ日が満月の日ではなかったからです。
満月ではない日に、わざわざ自分の権力をひけらかすために「望月」というだろうか?
しかも、その会には中古三十六歌仙のひとり(歌詠みの天才)藤原公任も参加しているのです。
公任を目の前にして、風流のかけらもない歌を詠み、それを皆で唱和するなんてことがあり得るだろうか?
そんな感じで私は「今日はいい夜だなぁ」説を推しています。
下の句の「望月」は太陽が天皇、月が后。
この日は道長の娘の威子が後一条天皇の入内を祝う会。
一条天皇の后の彰子、三条天皇の后研子と合わせて三人の月が揃ってるよ。って解釈でどうでしょうね。
ちなみに明治学院大学で出た問題は「望月の歌が記されている資料は何か」
これも大河ドラマ中で明確にされてましたね。
記したのは返歌を頼まれた藤原実資『小右記』
道長が左大臣、実資が右大臣だったことから賢人右府と呼ばれ、実資が残した日記が小右記です。
選択肢に『御堂関白記』があるのがイヤらしい。ちなみに御堂関白記は道長の日記。
道長は一度も関白をやっていないのに、その権力からか、御堂関白と称されていました。
これは良い問題だったな。
共通試験でも出題され、大学入試でも出題され…
公立高校入試でも出題の可能性は十分にありますね。
特に神奈川県公立高校入試の社会はその年の時事に沿った問題が出ることが多いので。
そして、来年
蔦谷重三郎、田沼意次、松平定信、御三卿
日本史のど真ん中ですね。
日本史とってる子は、息抜きに大河ドラマ完走するもの悪くない。
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