正しい勉強方法(数学編)
勉強してる割に数学の成績が伸びない人は勉強方法が悪い子が多い。
数学で躓いた子が私の元に来て、体験授業で出てくる質問が
「どの公式使いますか?」
分らなかった時に
「解き方が分りません」
そもそも数学に解き方なんかないし、公式は計算の途中を楽にしてくれるだけです。
では、どういった勉強方法が正しい勉強方法なのか。
それは、練習の際にその問題を「解くこと」を目的に勉強するのではなく、その問題を使ってどこまで色々な勉強ができるか挑むことです。
こう考えると一番やってはいけない学習が「5分考えて分らなかったら答えを見る学習」
解説って見た瞬間にその問題の巧みに答えにたどり着かない様に作られた罠が見えないまま、答えにたどり着いてしまうために「何が邪魔だったか」わからなくなってしまうんです。
そして、その勉強をしていくと、「解き方例をたくさん覚えること=数学」という悲惨な成功例を作り上げてしまいます。
本日は早稲田大学の過去問を例に正しい勉強方法を説明していきます。
問題は
原点を0とするxy平面上の2点PQは、それぞれ2つの半直線l₁:x=1 y≧0 ,l₂:x=-2 y≧0 上の点で、∠POQ=1/3
πとなるように動く。ただしπ/6<θ<π/2とする
三角形POQの面積の最小値とその時にP座標を求めよ。
ますは作図しなふがらヒントを増やしていきます
この時点で文字がp、q、θの3つ。
図からp、qがθを定めると定まることがわかるので、方針としてはpとqをθの式で表わす。
面積はS=1/2×OQ×OP×sin1/3π
したがってOQとOPをθで示せばクリア。
ヒントを増やす過程ではどんどん文字を使っちゃいましょう。
こここで別解をイメージ
と言うのも三角形の面積を公式化してますが、思いつかなかったら「台形-2つの三角形」これは小学生でも中学生でもやる計算なので、親しみあるでしょう。
では最初の方針で進めると
cosθ=1/OPなのでOP=1/cosθ
cos(2/3π-θ)=2/OQなのでOQ=-2/cos(2/3π-θ)
したがって
S=(√3/2)×1/{cosθ×cos(2/3π-θ)}
分母にあるcosθ×cos(2/3π-θ)が最少をとる時にSは最大値を取る。
さて、ここで積和の公式。積和の公式は積分でも関数でも使い勝手がいいので、しっかり使いこなそう。
覚える必要はないです。単に加法定理を2本考えて引くだけ。
今回はcos×cosだからcosの加法定理
cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ
cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ
2式をたすと
cos(α+β)+cos(α-β)=2cosαcosβ
これを利用すると
cosθ×cos(2/3π-θ)=1/2{cos2/3+cos(2θ-2/3π)}
=1/2×cos(2θ-2/3π)-1/4
下に凸の関数で、軸がπ/3で題意の範囲に収まるので、θ=π/3の時、Sは最大。
では、次に台形から引く考え方
台形の面積=3/2×{tanθ+2tan(2/3π-θ)}
三角形の面積 1/2tanθ+2tan(2/3π-θ)
S=tanθ+(tanθ+√3)/(√3tan-1)
ここで分子にも分母にも関数。ここで「さっきの時方わかったし、別解はいいや」ってなる子、損してますね。
さて√3tanθ-1=tとして、π/6<θ<π/2より t>0
{(t+1)/√3}×{(t+1)×1/√3+√3}/t
ここで分子分母をtでわる。
(1/√3)×(t+4/t)+2/√3
これは入試で使えるテクニックです。「2次関数をその関数の文字でわると相加相乗が見える」
t+4/t≧2√4=4
つまり√3tanθ-1=2で最大値をとるので、θ=π/3
さてこの問題を解くうえで
三角関数の利用以外に
・和積の公式の求め方
・相加相乗の2次方程式での利用
を追加で学習できるのです。
この問題を解法1つだけで、しかも和積の公式を教科書を見ながらやった生徒は、きっと成績は伸びないでしょう。
こうやって、1問からいろいろ試してみることが重要です。
ちなみに私は2直線の成す角(tanθの利用)も試してみましたが、この方法で解くうえで直線の傾きがない場合、全く旨みが無いので途中でやめました。こういうエラーも大事です。
とにかく寄り道をしよう。無駄にこそ勉強の大事なものが隠されています。
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