作図の有用性
この夏休みも私は1000回くらい「作図して」と言いました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、これでも少なく見積もってます。
この作図って理系科目においてはとても重要なんです。
では、作図がどれほど大事なのか「高校物理」で話をしてみましょう。
文系の子、文系出身の保護者様、中学生の子、「高校物理かぁ」と思わず最後まで読んでみてください。笑。
ではまずはこの図を見比べてみてください。
台の三角形は同じ形で、斜面にある物体の接地面の長さを変えています。
どちらかは滑り出さずに倒れてしまいます。
どちらが倒れるかわかりますよね。
物体に加わる重力の力の矢印が
左の図は接地面を通る
右の図は側面を通る
物体が倒れるなら、物体の接地面の右(点A)を中心に回転して倒れることが分ります。
左の図は物体に加わる重力が反時計回りの方向の力
右の図は物体に加わる重力が時計回りの方向の力
物体は時計回りに倒れるのですから、右は倒れて、左は倒れないことがわかります。
ではここからは大学入試の問題です。
θを大きくしていった時に物体が斜面を滑りださずに物体が倒れた。
この時のtanθを求めなさい。
tanθが分らない子も多いですね。あまり気にしないでください。
ではこの問題、先ほどまでの説明で考えると、物体に加わる重力の力の矢印が物体の側面側を通ればいいのです。
・日常の物理現象のイメージ
斜面の角度が小さければ、物体は倒れない。
・問題文の国語的解釈
「θを大きくしていった時に倒れる」=「θを小さくした場合倒れない」
つまり角度が小さい時は物体に加わる重力の力の矢印は接地面を通り、角度を大きくしていくと物体に加わる重力の力の矢印は側面を通る。
物体に加わる重力の力の矢印が点Aを通る時を考えれば、それよりθが大きければ時計回りの力が発生して物体は倒れます。
ここからが重要。
ではその状態の作図をしてみようってなった時に、作図慣れしてない子は、本当に斜面の角度を変えながら作図します。
そして大体で書いて終了。
これでは力はつかないですね。
正しい作図をする子はすぐにθを調整していたのでは物体に加わる重力の力の矢印が点Aを通る作図が上手く書けない事に気が付きます。
そして、どうするか…重力の力の矢印の方を点Aを通るように作図します。
そしてそこから逆算して物体を作図します。
そうです、最初に示した2つの図のように、横の長さを調整すれば、良いだけなんです。
そして、ここで結論にたどり着きます。
「物体の縦と横の比で物体に加わる力の矢印の位置が変わる」と。
答えは高校生じゃないと分らないですが、tanθ=a/b
答えを出すことが大事なのではなく、上記の論理で答えはaとbが関与していてaが小さいほど、bが大きいほど倒れやすいと理解できれば問題ありません。
ちなみに一番ダメな子は、斜面の物体の転倒条件として公式化して覚えてる子。
あえて難しい例で話を進めましたが、こういった技術を得るには、作図しなくても解ける問題でも作図することが大事です。
その手間が、高校生になった時に成長を促してくれます。
私が指導で常に言っていること「解ける解けないにかかわらず作図しなさい」
そして必ず一緒に添える言葉は「問題を解くことが目標ではなく、問題を使って能力をアップすること」
これが個別ゼミWill鷺沼校の指導のコアになる部分だと私は考えております。
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