どの公式を使うの?
昨日高校2年生の数学の授業をしていました。
その子、超優秀で「宿題は出来てるんだけど、結構適当に公式使っちゃった」
と自己申告。そりゃいい成績とるわけだわ。
こういう子はいいのですが、適当に公式を使て正解したことを「できた!」と思う子は危険ですね。
で、その子からの質問が「どの場合にどの公式を使えばいいですか?」というものでした。
実はこの子、私の授業を受け始めて3回目。
私の返答に少し困惑してましたが、授業後に納得してくれてよかった。
私の返答がどうだったかというと
「公式を使わなければ、どの公式を使うかわかるようになるよ」です。
禅問答みたいですね。笑。
実はそんなことは無いんです。本当に公式を使わなければ、どの公式を使うかわかるんです。
では実際の授業解説を書きます。
問題 半径√10で中心が(0,0)の円に点P(5,5)から引いた接線の式を求めなさい。
まずは作図。
赤い線を求めるのが問題。
接点を(X₁、Y₁)として
「円の接線を見たら中心を通る垂線を引く」
これは数学における脊髄反射にしましょう。
ということで緑の線は引けました。
緑の線は(0、0)を通るから比例のグラフ。
接点(X₁、Y₁)を通るのでy=(Y₁/X₁)X
注)本当は傾きに( )は要りませんが、見難いのでつけました。
緑の線と赤い線は垂直に交わるので、赤い線の傾きは-X₁/Y₁
赤い直線の式はy=(-X₁/Y₁)x+b…①
この直線が(X₁、Y₁)を通るので、代入して
Y₁=(-X₁/Y₁)X₁+b
b=Y₁-(-X₁/Y₁)X₁
={(Y₁)²+(X₁)²}/Y₁
三平方の定理より(Y₁)²+(X₁)²=10
したがってb=10/Y₁
これを①式に代入して
y=(-X₁/Y₁)X+10/Y₁
両辺にY₁をかけると
yY₁=-xX₁+10
xX₁+yY₁=10…②
この直線は(5,5)を通るので
5X₁+5Y₁=10
X₁=2-Y₁…③
また(X1、Y₁)は円上の点なので
(X₁)²+(Y₁)²=10…④
③④を連立すると
(2-Y₁)²+(Y₁)²=10
2(Y₁)²-4(Y₁)-6=0
(Y₁)²-2(Y₁)-3=0
(Y₁-3)(Y₁+1)=0
Y1=3、-1
これを③式に代入して対応するX₁を求めます。
したがって接点(X₁、Y₁)は(3、-1)と(-1、3)
この点を②式に代入して
3x-y=10
-x+3Y=10
これで終了です。
優秀な子はお気づきでしょう!
赤字で書いた部分が公式x₁X+y₁y=r²の公式の導き方になっています。
つまり、公式を知っている子は赤い部分を省略できます。
言い換えれば、公式を使わずにずっとこの解き方で練習している子は、いつか気が付くことですが
「結局いつもx₁x+y₁y=r²になるから、ここは公式化してしまおう」という事です。
こうして、公式を使わないことによって、どの公式を使えばいいかが分るようになります。
勉強のアプローチが真逆なんですよ。
公式を使うことによって問題を解くのではなく
問題を解いている時にルールに気が付いてそこを公式化する
この違いに気が付かない限りは「先生、どの公式使えばいいかわからない」の状態はずっと続きます。
単元が分らない模試や大学入試では、さらに「どの公式を使えばいいかわかりません」
だからこそ、あえて公式を使わない練習が必要なのです。
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