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2023年4月12日 (水)

どの公式を使うの?

昨日高校2年生の数学の授業をしていました。

その子、超優秀で「宿題は出来てるんだけど、結構適当に公式使っちゃった」

と自己申告。そりゃいい成績とるわけだわ。

こういう子はいいのですが、適当に公式を使て正解したことを「できた!」と思う子は危険ですね。

で、その子からの質問が「どの場合にどの公式を使えばいいですか?」というものでした。

実はこの子、私の授業を受け始めて3回目。

私の返答に少し困惑してましたが、授業後に納得してくれてよかった。

私の返答がどうだったかというと

「公式を使わなければ、どの公式を使うかわかるようになるよ」です。

禅問答みたいですね。笑。

実はそんなことは無いんです。本当に公式を使わなければ、どの公式を使うかわかるんです。

では実際の授業解説を書きます。

Hp147

 

問題 半径√10で中心が(0,0)の円に点P(5,5)から引いた接線の式を求めなさい。

まずは作図。

Hp146

赤い線を求めるのが問題。

接点を(X₁、Y₁)として

「円の接線を見たら中心を通る垂線を引く」

これは数学における脊髄反射にしましょう。

ということで緑の線は引けました。

緑の線は(0、0)を通るから比例のグラフ。

接点(X₁、Y₁)を通るのでy=(Y₁/X₁)X

注)本当は傾きに( )は要りませんが、見難いのでつけました。

 

緑の線と赤い線は垂直に交わるので、赤い線の傾きは-X₁/Y₁

赤い直線の式はy=(-X₁/Y₁)x+b…①

この直線が(X₁、Y₁)を通るので、代入して

Y₁=(-X₁/Y₁)X₁+b

b=Y₁-(-X₁/Y₁)X₁

 ={(Y₁)²+(X₁)²}/Y₁

三平方の定理より(Y₁)²+(X₁)²=10

したがってb=10/Y₁

これを①式に代入して

y=(-X₁/Y₁)X+10/Y₁

両辺にY₁をかけると

yY₁=-xX₁+10

xX₁+yY₁=10…②

この直線は(5,5)を通るので

5X₁+5Y₁=10

X₁=2-Y₁…③

また(X1、Y₁)は円上の点なので

(X₁)²+(Y₁)²=10…④

③④を連立すると

(2-Y₁)²+(Y₁)²=10

2(Y₁)²-4(Y₁)-6=0

(Y₁)²-2(Y₁)-3=0

(Y₁-3)(Y₁+1)=0

Y1=3、-1

これを③式に代入して対応するX₁を求めます。

したがって接点(X₁、Y₁)は(3、-1)と(-1、3)

この点を②式に代入して

3x-y=10

-x+3Y=10

これで終了です。

 

優秀な子はお気づきでしょう!

赤字で書いた部分が公式x₁X+y₁y=r²の公式の導き方になっています。

つまり、公式を知っている子は赤い部分を省略できます。

言い換えれば、公式を使わずにずっとこの解き方で練習している子は、いつか気が付くことですが

「結局いつもx₁x+y₁y=r²になるから、ここは公式化してしまおう」という事です。

 

こうして、公式を使わないことによって、どの公式を使えばいいかが分るようになります。

勉強のアプローチが真逆なんですよ。

公式を使うことによって問題を解くのではなく

問題を解いている時にルールに気が付いてそこを公式化する

 

この違いに気が付かない限りは「先生、どの公式使えばいいかわからない」の状態はずっと続きます。

単元が分らない模試や大学入試では、さらに「どの公式を使えばいいかわかりません」

だからこそ、あえて公式を使わない練習が必要なのです。

Hp147

 

 

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