宮崎中学年末テスト 1年理科
かなり良い問題でした。
大学入試共通試験の形式を踏襲していて、このテストのレベルを維持して3年間学習できる子たちは学習への考え方も良い方向へ行くでしょう。
早速ですが解説します。
まずが☆難問☆です。これは学校の先生の完全作問ですね。手間を惜しまないいい先生ですね。
理科系という事もあって、国語的なエラーがありますが(実験1は実験ではなく準備、実験2~実験4がそれぞれ3種類の実験)解答に影響はないためご愛嬌ってところでしょう。
ここでは多少修正して掲載します。
25℃の水素・酸素・アンモニア、二酸化炭素の4種類から、異なる2種類の気体を同じ体積ずつ3つのポリエチレン袋にいれ、それぞれをa・b・cとした。ただしa・b・cに入っている気体の組み合わせは全て異なるものとする。
また空気の密度を1としたときの気体の密度は水素(0.07)、酸素(1.1)、アンモニア(0.59)二酸化炭素(1.5)
<実験1>
25℃のままa・b・cのポリエチレン袋と、同じ体積の空気だけ入れたポリエチレン袋の重さを比べたらa・cは空気より重く、bは空気より軽かった
<実験2>
a・b・cのポリエチレン袋に少量の水を同じ体積分入れてよく振ると、同じだった体積がどれも変化して、体積の変化量はcが一番少なかった。また体積を比べるとa<b<cとなった
<実験3>
実験2でbに残った気体を空気が混ざらない様に1本の試験官に移して点火すると音を立てて燃えた
問1 a・b・cに入っている気体の組み合わせをそれぞれ答えよ
問2 それぞれの袋に水にぬれた赤いリトマス紙を入れた時にリトマス史の色が変化しなかったのはどれか
この問題のいい所は
まずは「比重」で問題を作ったこと。「空気の密度を1として」は中1の思考力では一気に難易度が上がりますね。
あとは実験1で答えを絞らせない事。そして6種の組み合わせから3種選ばなくてはいけない事。
では考え方
問1
それぞれ同量の気体を入れるので
ア 水素+酸素=0.07+1.1=1.17
イ 水素+二酸化炭素=0.07+1.5=1.57
ウ 水素+アンモニア=0.07+0.59=0.66
エ 酸素+二酸化炭素=1.1+1.5=2.6
オ 酸素+アンモニア=1.1+0.59=1.69
カ 二酸化炭素+アンモニア=1.5+0.59=2.09
空気=1+1=2
<実験1> bの候補がア・イ・ウ・オ a・cの候補がエ・カ
<実験2>水に溶けるのは二酸化炭素とアンモニア、特にアンモニアはよく解けるので体積がよりたくさん減少するのはアンモニア
<実験3>よりbには水素が入っていることがわかります。
このヒントから推測します。
<実験2>のヒントから体積の大きい順にa<b<c
カは水によく解けるアンモニアをウが含むことから、エよりも体積が減る。したがってa=カ、c=エ
bは酸素を含み、酸素+二酸化炭素よりも体積変化が大きいのでアンモニアがあり、かつ水素があるウとなる。
(おそらく、実際の問題用紙の実験4はbとcとなっているが、正しくはbのみ)
問2
こちらはイージー問題
赤リトマス紙を変化させるのはアルカリ性の性質をもつアンモニアのみ。なおでアンモニアを含まないcのみが変化しない。
次に良かった問題(あえて溶解度という言葉に変更してあります)
硝酸カリウム64gを80℃で100gの水に溶かし、加熱して水をいくらか蒸発させた。そののちに20℃に冷却すると38.4gの結晶ができた。
蒸発させた水の質量について最も近いものはどれか。
ア5g イ10g ウ15g エ20g オ25g カ30g
ただし硝酸カリウムの溶解度は20℃で32gとする。
考え方
結晶が出た事から飽和水溶液と考える。
解けている硝酸カリウムは64-38.4=25.6g
20℃で100gの水に32gの硝酸カリウムが解けるので
水の量は 100×25.6/32=80
つまり20gの水が蒸発したと考えられる。
ここで私が普段から教えてる「単位量当たり」の考え方が活きてきますね。
ちなみに方程式でガチンコ勝負も出来ます。
なにも考えなくてもいいから方程式の解き方も慣れておいた方がいいでしょう。
蒸発した水の量をxとして
100-x:25.6=100:32
25600=32(100-x)
80=100-x
x=20
生徒たちが定期テストでいい点を目指して勉強する以上、定期テストはこういう良い問題であって欲しいですよね。
そうすれば、おのずと生徒たちの「思考力」が鍛えられて、その後の学習にも役立ちます。
定期テストが学校の先生のエゴによって作られた時、その生徒たちの学力は高校で崩壊してしまいます。
まるで遅行性の毒です。
| 固定リンク
最近のコメント