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2023年3月

2023年3月24日 (金)

2023年度 公立高校入試 合格体験記②

今日紹介させていただく合格体験記は、3姉妹全員私の元に預けていただいたご家庭の末の妹さんの体験記です。

一番上のお姉ちゃんが小学校三年生からウィルに通っていたため、もうこのご家庭とは14年のお付き合いになります。

私の鷺沼赴任の初年度からのお付き合いです。

無事3姉妹全員第一志望の公立高校に合格させることができました。

こうやって「うちの子は目黒先生に任せよう」って考えてくれるご家庭に支えられて頑張れた14年。

あれ、なんか退任するみたいな書き方になってしまった。

目黒先生はやめへんで~(Ⓒ山崎邦正)

 

荏田高校合格 Y・Yさん

私が受験を終えて思った事はたくさんあります。その中でも特に思ったことが二つあります。

一つ目は勉強を始める時期です。私はなかなかやる気が出ず、受験勉強を本格的に始めたのは、中三からでした。それまではスマホやゲームをして怠けていました。もっと早くから勉強をしていれば入試で、もっと良い点が取れたと後悔をしています。

二つ目はSNSについてです。私はインスタグラムを使います。見ているだけで三時間たっていたなんてことが多々ありました。そこで私は受験が終わるまでスマホからインスラグラムのアプリを削除しました。その日よりスマホを触っている時間が激減し、自然と勉強時間が増えました。

受験期間のSNS離れはとても大事な事だと思います。

受験は初めてだからみなさん不安だと思うけどウィルの先生たちはとても頼りになるので、そんなに身構えなくても大丈夫なので、気持ちを楽にして挑んで下さい。

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2023年3月18日 (土)

2023年度 公立高校入試 合格体験記①

第一弾は今年最も成績上昇した子の体験記を掲載します。

部活に一生懸命でなかなか勉強との両立が難しかったけれども、3年生の夏から成績が急上昇。

無事第一志望に合格できました。

生田高校合格 Y・Tさん

 

私は生田高校に合格しました。

三年生の夏までは勉強をしてこなかったので、七月の模試では偏差値が五〇くらいしかありませんでした。これではダメだと思って、夏休みは毎日開校時間から夜まで塾に通い、自習時間を増やしました。

それまで勉強時間がゼロだった人が朝から夜まで勉強漬けはしんどかったので、息抜きにライブへ行き、気持ちにメリハリをつける事を心がけました。

夏休みに勉強時間の積み重ねを作れたので、七月の模試から成績は伸び続け、秋の模試での結果がS判定でした。

しかし、油断すると点数が下がるので模試の結果に満足せずに、結果から苦手な分野を見つけ、苦手な分野を減らしていくことで成績の維持ができました。

受験を終わって思う事は理科と社会はもっと早くから取り組んでおけば良かったということです。

受験を終えて、後輩たちに私からできるアドバイスとしては、やればやるほど点数になるので、絶対に早くからコツコツと積み重ねたほうがいいということです。

 

<YさんのWもしの成績推移>

Hp143

後輩たちも後に続こう!!

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2023年3月15日 (水)

思考力問題って?

文部科学省の掲げる高大接続改革

学力の定義を…

1.知識・技能

2.思考力・判断力・表現力

3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

と定めました。

その中でもフォーカスされてるのが「思考力」

これは大学入試共通試験で採用されている為、それに連なる高校入試にも反映してきています。

今年度の神奈川県公立高校入試の問3(ウ)がその典型でしょう。

詳しい内容は2/20に書いた「神奈川県 公立高校入試 数学②」に書いています。

公立高校入試に出てくる以上は、各中学校の定期テストでも意識して出題すべきなのですが、そもそも私たちは学校の先生も含め「学力」=「知識・技能」で育った世代。なかなか対応するのが難しいですね。

私が今、気になるのは、多くの中学校の先生が「思考力問題」=「会話文を聞いて考える問題」と勘違いしてる事です。

それは問題の出題形式を「文章」から「会話文」に替えただけであり「思考力問題」とは呼べません。

今回の有馬中の学年末試験の2年の数学がまさにそんな感じでした。

では問題を例に話を進めます。

問11

Aさん体育の授業で陸上競技用のトラックをグラウンドにかいています。次の会話は、どのレーンもゴールする場所が同じになるように、スタートの位置を調整するため、各レーンをどの程度調整すればよいのか、AさんとBさんが話し合っている様子です。この会話を聞いて後の問に答えなさい

A「直線部分の長さはどのレーンも同じだから、2か所の半円部分を組み合わせた長さを比べて、その差だけ調整すればいいよね」

B「どの走者もレーンの真ん中を走り、最も内側にある第1レーンの半円部分の半径をrメートル、どのレーンの幅も1メートルとしようか」

A「えっと、それだと円周の長さは直径×πだから、例えば第4レーンは( ① )だけ前に出すように調整すればいいってことか」

B「いちいち計算するのは面倒だから、第aレーンの調整する距離をaを使って表して、そこに代入することにしよう」

A「第aレーンの調整する距離は…( 2 )と表せる

( 1 )①に当てはまる式を答えなさい

( 2 )②に当てはまる式を答えなさい

<解>

(1)

第1レーンの2か所の半円部分の距離は、レーンの真ん中を走るから2×π(r+1/2)…①

第4レーンは第1レーンの3メートル外側を走るので、2か所の半円部分の距離は 2×π×(r+7/2)…②

②-①=6π

(2)

第aレーンは第1レーンの(a-1)メートル外側を走るので、2か所の半円部分の距離は2×n×{r+1/2+(a-1)}…③

③-①=2πa-2π

 

これは特に何も考えずに会話の指示通りに解けば解けますね。

むしろ会話が「思考」をする手間を省いてくれます。

しかもこの問題の悪いところは実は半径の値はどうでもよくて、「レーンの中央をは走るのでr+1/2」としてる部分をrで計算しても同じ値になります。せっかくの「レーンの真ん中を走る」って部分が意味を成してない、つまり正しい読解ができなくても正解してしまう問題なのです。

唯一会話の中に「2か所の半円部分を組み合わせた長さ」という部分から、ゴール地点が1周して直線部分にある事だけが「読解力」を要する部分なのですが、これを「思考力」というとそれは???です。

 

では私ならどう作るか。

会話文と設問だけいじります。会話の設定は先生と生徒に代えますね。

先生「直線部の長さはどのレーンも等しいからじゃあ、2か所の半円部分を組み合わせた円周の長さを比べて、その長さだけ調整すればいいよね。さっそく第4レーンを何メートル調整すればいいか計算してみてください。だたしどの走者もレーンの中央を走るとして考えてください」

生徒「半円の部分の半径の長さが分らないいので、測ってきてもいいですか」

先生「①半円部分の長さが分らなくても調整する長さを決める事はできるんですよ。ちょっと難しかったかな。では半円部分の第1レーンの内側の線の半径を10メートルとして計算してみてください」

生徒「できました。第4レーンを( ② )メートルだけ第1レーンより前になるように調整します。」

先生「では、今度は半径を15メートルとして計算してみてください」

生徒「あ!本当だ。今度も第4レーンを( ② )メートルだけ第1レーンより前になればいいと求めることができました」

 

問1 ②にはいる式を答えよ。ただし途中計算も書くこと

問2 下線部①となる事を証明せよ

 

思考力って何?

岩波書店の国語辞典で意味を調べると

「まわりの事態に応じて課題を解決していく力」とあります。

数学的な思考とは何か…それは「矛盾のない仮説を立てる」ことと「誰が見ても確かな結論」を出すことではないでしょうか。

したがって問題をまずは「実際の数値で仮説を立てる=矛盾のない仮説を立てる」(問1)

しかしこれはあくまで第1レーンと第4レーンとの間の限定的な条件で、しかも半径も10メートルと15メートルという限定的な条件です。

これを「どんな半径であっても」「どのレーンとの比較でも」成り立つことを証明する「文字式で一般化した式をたてる=誰が見ても確からな結論」(問2)

こんな構成にすれば思考力という題を満たすのではないでしょうか。

 

<解>

問1 

第1レーンの内側の線から半円部分の第4レーンの中央までの距離は3+1/2=7/2

したがって第4レーンの走者が走る2か所の半円部分の合計は2π(10+7/2)=27π…①

第1レーンの走者が走る2か所の半円部分の合計は2π×(10+1/2)=21π…②

①-②=6π

注)半径を第1レーンを10と第4レーンを13で計算してるものは不正解

問2

半円部分の第1レーンの内側の線の半径をr、比較するレーンを第aレーンとして

第1レーンの内側の線から半円部分の第aレーンの中央までの距離は

(a-1)+1/2=a-1/2

 

したがって第aレーンの走者が走る2か所の半円部分の合計は

2π{r+(a-1/2)}=2πr+2πa-π…①

 

第1レーンの走者は走る2か所の半円部分の合計は

2π(r+1/2)=2πr+n…②

 

第aレーンの調整する距離は①-②=2πa-2πとなり

式にrが含まれないため、第1レーンの内側の半径にに関係なく第aレーンの調整する距離は決まる(証明終了)

 

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2023年3月10日 (金)

宮崎中学年末テスト 1年理科

かなり良い問題でした。

大学入試共通試験の形式を踏襲していて、このテストのレベルを維持して3年間学習できる子たちは学習への考え方も良い方向へ行くでしょう。

早速ですが解説します。

まずが☆難問☆です。これは学校の先生の完全作問ですね。手間を惜しまないいい先生ですね。

理科系という事もあって、国語的なエラーがありますが(実験1は実験ではなく準備、実験2~実験4がそれぞれ3種類の実験)解答に影響はないためご愛嬌ってところでしょう。

ここでは多少修正して掲載します。

 

25℃の水素・酸素・アンモニア、二酸化炭素の4種類から、異なる2種類の気体を同じ体積ずつ3つのポリエチレン袋にいれ、それぞれをa・b・cとした。ただしa・b・cに入っている気体の組み合わせは全て異なるものとする。

また空気の密度を1としたときの気体の密度は水素(0.07)、酸素(1.1)、アンモニア(0.59)二酸化炭素(1.5)

 

<実験1>

25℃のままa・b・cのポリエチレン袋と、同じ体積の空気だけ入れたポリエチレン袋の重さを比べたらa・cは空気より重く、bは空気より軽かった

<実験2>

a・b・cのポリエチレン袋に少量の水を同じ体積分入れてよく振ると、同じだった体積がどれも変化して、体積の変化量はcが一番少なかった。また体積を比べるとa<b<cとなった

 

<実験3>

実験2でbに残った気体を空気が混ざらない様に1本の試験官に移して点火すると音を立てて燃えた

 

問1 a・b・cに入っている気体の組み合わせをそれぞれ答えよ

問2 それぞれの袋に水にぬれた赤いリトマス紙を入れた時にリトマス史の色が変化しなかったのはどれか

 

この問題のいい所は

まずは「比重」で問題を作ったこと。「空気の密度を1として」は中1の思考力では一気に難易度が上がりますね。

あとは実験1で答えを絞らせない事。そして6種の組み合わせから3種選ばなくてはいけない事。

 

では考え方

問1

それぞれ同量の気体を入れるので

ア 水素+酸素=0.07+1.1=1.17

イ 水素+二酸化炭素=0.07+1.5=1.57

ウ 水素+アンモニア=0.07+0.59=0.66

エ 酸素+二酸化炭素=1.1+1.5=2.6

オ 酸素+アンモニア=1.1+0.59=1.69

カ 二酸化炭素+アンモニア=1.5+0.59=2.09

空気=1+1=2

 

<実験1> bの候補がア・イ・ウ・オ a・cの候補がエ・カ

<実験2>水に溶けるのは二酸化炭素とアンモニア、特にアンモニアはよく解けるので体積がよりたくさん減少するのはアンモニア

<実験3>よりbには水素が入っていることがわかります。

このヒントから推測します。

<実験2>のヒントから体積の大きい順にa<b<c

カは水によく解けるアンモニアをウが含むことから、エよりも体積が減る。したがってa=カ、c=エ

bは酸素を含み、酸素+二酸化炭素よりも体積変化が大きいのでアンモニアがあり、かつ水素があるウとなる。

(おそらく、実際の問題用紙の実験4はbとcとなっているが、正しくはbのみ)

問2

こちらはイージー問題

赤リトマス紙を変化させるのはアルカリ性の性質をもつアンモニアのみ。なおでアンモニアを含まないcのみが変化しない。

 

 

次に良かった問題(あえて溶解度という言葉に変更してあります)

硝酸カリウム64gを80℃で100gの水に溶かし、加熱して水をいくらか蒸発させた。そののちに20℃に冷却すると38.4gの結晶ができた。

蒸発させた水の質量について最も近いものはどれか。

ア5g イ10g ウ15g エ20g オ25g カ30g

ただし硝酸カリウムの溶解度は20℃で32gとする。

 

考え方

結晶が出た事から飽和水溶液と考える。

解けている硝酸カリウムは64-38.4=25.6g

20℃で100gの水に32gの硝酸カリウムが解けるので

水の量は 100×25.6/32=80

つまり20gの水が蒸発したと考えられる。

ここで私が普段から教えてる「単位量当たり」の考え方が活きてきますね。

 

ちなみに方程式でガチンコ勝負も出来ます。

なにも考えなくてもいいから方程式の解き方も慣れておいた方がいいでしょう。

蒸発した水の量をxとして

100-x:25.6=100:32

25600=32(100-x)

80=100-x

x=20

 

生徒たちが定期テストでいい点を目指して勉強する以上、定期テストはこういう良い問題であって欲しいですよね。

そうすれば、おのずと生徒たちの「思考力」が鍛えられて、その後の学習にも役立ちます。

定期テストが学校の先生のエゴによって作られた時、その生徒たちの学力は高校で崩壊してしまいます。

まるで遅行性の毒です。

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2023年3月 8日 (水)

神奈川県 公立高校入試 数学③

例年ヤマとなる問4
今年はというと…とても簡単でした。
そう評価した理由としては求める値を文字で置いて力技で解けるからです。

 

ではまずは問題のヒントを拾う練習。

問題文を読むだけで以下の状態になります。

(黒字は書いてあるヒントをグラフに落としたもの、赤字はヒントから計算したもの)

Hp138

基本問題のア・イは解説は省略してウの解説をします。
さきには「力技」での解答。これは思考はほとんどいらない。すべてセオリー通りに解きます。
力業ができるのなら、連立方程式さえ丁寧にできる子はだれでも解けます。
まずは点Gのx座標をtとすると点Gは(t,-1/2p+9/2)となります。

三角形DEGについて
底辺=12
高さ=-1/2t+9/2+6
 =-1/2t+21/2(=hと置いておきます)
面積=12×h÷2=6h…①

三角形DBGは軸と平行な線がないため、延長して軸に平行な線を利用して解きます。
これもセオリー中のセオリーですね。
BCを延長した直線とDEを延長した直線の交点をQとして

Hp139


直線BCの式Y=-1/2X+9/2にY=-6を代入して
-6=-1/2X+9/2
-12=‐X+9
X=21
したがってQ=(21,-6)
(三角形DBQの面積)‐(三角形DGQの面積)=(三角形DBGの面積)

三角形DBQについて
底辺=27
高さ=12
面積=162

三角形DGQについて
底辺=27
高さ=h
面積=27/2×h

三角形DBG=162-27/2×h…②

①=②より

162-27/2×h=6h
162=39/2h
h=108/13
h=-1/2t+21/2なので
216/13=-t+21
216/13=-t+273/13
t=273/13-216/13=57/13

計算ごり押しで答えが出ました。

分らないものを文字で置いて方程式でごり押し

こういうごり押しで解く力は必須ですね。

面倒だけど絶対に答えが出ます。

 

ではこの問題をスマートに解くなら

DGに平行で点Bを通る直線を引いて、等積変形を行います。

Hp140

三角形DEG=三角形BDG=三角形RDG

三角形DEG=三角形RDGに注目すると

底辺の比が1:1になるので

RD=DE=12

点DのX座標が-6なので、点RのX座標は-18。したがって点R=(-18、-6)

直線RBの傾きは(Yの増加量)/(Xの増加量)なので12/15=4/5

直線DG//直線RBより直線DGの傾きも4/5

直線DGはy=4/5x+b

ここに点Dの座標(-6,-6)を代入して

直線DGはy=4/5x-6/5

直線BCはy=-1/2x+9/2

直線DGと直線BCの交点が点Gなので連立すると

x=53/13

計算量もかなり減りますね。

 

今回2通りの解法を載せましたが、実はこの別解作成がとても良い勉強になります。

「数学の解き方は1つではない」と分る事はそうとう重要な事です。

これを知っている子は、「先生この問題、どの公式使いますか?」なんて質問はしなくなります。

それこそ初見問題でパニックにはなりません。

「分らない」ところが問題のスタートになれるのです。

しかし、なかなか問題集では別解を載せる事は少ないですからね~

声の教育者さんの2024年版の解説はどちらで載るかな~。まあ、等積変形の方でしょう。

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