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2023年2月

2023年2月20日 (月)

神奈川県 公立高校入試 数学②

今年の入試で最も「良い問題!」って思ったのが数学の問3(ウ)

大学入試の「共通試験」を見据えた思考力系問題。

とにかくヒントの量が少なく、問題文が長い。

という事でヒント拾いからやっていきましょう。

問題文を書きますね。

 

学校から駅までの道のりは2400mであり、その途中にかもめ図書館といちょう図書館がある。AさんとBさんは16時に学校を出発し、①それぞれが図書館に立ち寄ってから駅まで移動する中で一度すれ違った駅には同時に到着した

③Aさんは、かもめ図書館に5分間立ち寄って本を借り、駅まで移動した。Bさんは、いちょう図書館に15分立ち寄って借りたい本を探したが見つからなかったため道を引きかえし、かもめ図書館に5分立ち寄って本を借り、駅まで移動した。

(中略)

このとき、AさんとBさんがすれ違った時間帯として最も適するものをあとの1~6の中から1つ選びなさい。

 

先に一つツッコんでおくと(笑)国語じゃないんだから「最も適する」はおかしい。答えは1つで他は適さないのだから。

①から2人が出会うのはAさんが図書館を出発する20分以降ということが分ります。

③から立ち寄った時間が長いBさんの方が歩く速さが速いことがわかります。

②と③からBさんがいちょう図書館からかもめ図書館へ引きかえす途中ですれ違ったことがわかります。

(Bさんがかもめ図書館を出た後にAさんを追い越したならBさんが先に到着しますね)

 

ここからちょっと特殊な考え方をします。

Bさんが駅に到着するまでの立ち寄った15分と5分は、どこでとったとしても、駅に着く時間に影響はありません。

例えば出発してから5分後に20分の休憩をとっていちょう図書館に着いた瞬間い引きかえして、かもめ図書館に到着してすぐに駅に向かっても、時間も同じになります。

この考え方を利用して、いちょう図書館では立ち寄らずに引きかえして、かもめ図書館でにも立ち寄らず、最初に20分遅く出たと仮定して考えます。

また、Bさんはかもめ図書館~いちょう図書館の往復距離1200m分を多く歩くので、その分後ろからスタートしたと考えてグラフを作り直すと

Hp135

こうするとBさんの速さが分速240mと決まります。

ちなみに来年販売される入試過去問の解答だとこうなるって想定できます

Bさんの歩いた時間の合計は35-15-5=15

Bさんの移動距離は2400+1200=3600

Bさんの速さは3600÷15=240 毎分240m

しかし、せっかく作図でいけるので数式で解くのはもったいないですね。

ここからが私の授業の真骨頂です。

まず、「距離-時間グラフはグラフの変化の割合=速さ」であることを利用していきます。

Bさんの速さはX1目盛り増加するとY2目盛り増加

このことを利用して問題の図3にBさんのグラフを書いていくとこうなります。

Hp137

①は7分30秒、ここに15分の休憩を入れると②は22分30秒、そこから2分30秒でかもめ図書館に戻る。

すべてX1目盛りぞうかするとY2目盛り増加→X1/2目盛り増加するとY1目盛りで考えてます。

つまり5分で1200m進んでいる→2分30秒で600m進んでいる。

Bさんのいちょう図書館出発時間は16時22分30秒、かもめ図書館到着時間は16時25分

この間にAさんとすれ違うので答えは3の16時23分から16時25分となります。

こちらも同様に想定される問題集の解答だと

Bさんがいちょう図書館につくのは1800÷240=7.5分後

Bさんはいちょう図書館に15分立ち寄るので7.5+15=22.5分後

Bさんがかもめ図書館に着くのは600÷240=2.5分後つまり22.5+2.5=25分後

ここからは入試における蛇足

(時間との勝負なので絶対に入試ではやるべきではないが、日ごろの練習ではやった方がいいでしょう)

Bさんのいちょう図書館からかもめ図書館への移動を関数にすると

y=-240X+b

(25 . 1200)を代入してb=7200

y=-240x+7200…①

Aさんのかもめ図書館から駅への移動を関数にすると

y=80X+c

(20 . 1200)を代入してc=-400

y=80x-400…②

①②を連立して

-240x+7200=80x-400

320x=7600

x=95/4

23分と3/4分つまり16時23分45秒に2人がすれ違う。

 

以上です。

あとは問3(エ)と問4(ウ)くらいかな~

近日掲載します。

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2023年2月15日 (水)

神奈川県 公立高校入試 数学①

今朝はちょっと早めに出勤して入試問題を解いてました。

全体的には例年と変わらないか、数学が易しかった分若干易化したのかな~ってイメージです。

その中でも例年正答率は5%を下回る問6(ウ)の解説をしていきます。

 

今年の問題も例年通りの攻略方法でOKです。

「空間図形は平面図形で考える」

さて、では行ってみましょう。

(ア)はすでに何度も出題されていて見飽きた問題なので、計算のみ書いていきます。

側面の母線の長さが10

底面の半径が4

つまり側面は中心角が2/5(144°)の扇形

側面積10×10×π×2/5=40π

低面積4×4×π=16π

したがって56π

 

(イ)は図形慣れしてないと解けないかな。問6で一番難しい。

Hp130

まずはこの様に求めるべきDEを含む平面を見つけます。

CE=CBの二等辺三角形ですね。

では不明なEBを求めるために、底面を見ていきます。

Hp131

問題に∠AOE=60とあるので『特別な直角三角形の比』を利用する

そう考えると、この様な作図になりますね。

OE=4なのでEH=2√3

EB=4√3

つぎに二等辺三角形CABでEDを求めるためには直角三角形が必要になります。

ということで直角三角形EDJを作図。

これでEJとDJが分れば三平方の定理でクリアです。

CD:DB=1:1も問題文にあるため比があるなら「平行線と線分比」

DJに平行な直線を頂点Cから引くと以下の図になります。

 

Hp132_20230215145301

まずはEJ

CD:DB=1:1よりIJ:JB=1:1

三角形CEBは二等辺三角形なのでEB=IB

つまりEI:IJ:JB=2:1:1

EJ:JB=3:1

EJ=EB×3/4=3√3

 

つぎにDJ

平行線と線分比より2DJ=CI

なのでCIを求めます。

直角三角形CEIで三平方の定理

CI²=10²-(2√3)²

   =100-12

   =88

CI=2√22

つまりDJ=√22

 

これで準備完了

直角三角形EDJで

ED²=DJ²+EJ²

    =(3√3)²+(√22)²

    =27+22

  =49

ED=7

 

(ウ)はかなり簡単でした。

ポイントは「中心角の大きさは扇形の弧の長さに比例する」

側面はこんな図になります。

Hp133

側面の中心角は144°

底面の中心角300°の扇形を考えると、この扇形の弧の長さ=EA'=8π×5/6

∠ECA'は扇形ECA’の弧の長さの式は10×2×π×中心角/360

この二つの長さは等しいので

10×2×π×中心角/360=8×π×5/6

中心角=120°

これで三角形CEFは∠ECFが120°の三角形。

あとは120°が見えたので、60°を利用した直角三角形を作図すること。

二等辺三角形なら120度を60°と60°に分けたいけど、そうもいきませんね。

ってことで思いつくのは180-120=60°つまりは120°の外角側に60°の直角三角形の作図です。Hp134

直角三角形ECKでEC=10なのでCK=5、EK=5√3

ゆえにFK=10

直角三角形EFKで三平方の定理より

EF²=FK²+EK²

     =10²+(5√3)²

     =100+175

   =175

EF=5√7

実は(ウ)の作図は余弦定理の使用回避方法で数日前に私がこのブログで書いたものです。

去年の夏に数検準2級を受験した子が、入試後早速教室に来て、「先生が数学検定で教えてくれた作図、でたよ!」って興奮気味に言ってくれました。

これを、「予習になるけど、余弦定理ってのがあってね」って指導してたら、この子はどうなてたことやら。

 

今、中1、中2が定期テスト前であまり時間が無いため、今日は問6だけにしておきます。

また小出しに難問の解説を載せますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2023年2月13日 (月)

AI先生ってどうなの?

昨今CMでも話題のAI先生。

これってどうなの??

私は私なりの答えを得ています。

AIが世に出始めた頃に私も「自分の職業が20年後も人がやっているのかAIに取って代わられるのか」

と様々な角度からAI先生の誕生に対して考えました。

AI先生が我々生身の先生に取って代わる可能性が大きいのならば、もちろん職業を変えようと思っての事です。

そこでたどり着いた答えが、AI先生には私の代わりは不可能であるという事です。

今日はその根拠を述べていきたいと思います。

 

根拠1

大学共同利用機関法人情報システム研究機構が行なってきた、「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトでIAを使って模試(当時はセンター試験の進研模試+代ゼミ東大入試プレテスト)を受験し合格偏差値届くかというプロジェクトの結果です。

詳しくはプロジェクトを率いた新井紀子さんの著書『AIに負けない子供を育てる』を是非読んでみてください。

このプロジェクトで「AIでは東大に合格できる見込みはない」と結論付けられました。

そもそも自力で合格できないのに、指導なんてできるわけがないんですよ。

 

根拠2

文部科学省が掲げる新教育大綱。

これは簡単に言えば「AIに出来ない思考力を学ぼう」というものです。

従来の入試は「どれだけ覚えているか」が合否を分けましたが、今後は「どうやってそれを使うのか」が求められる時代になります。

AIに出来ない事を学力の定義にしようと文科省が言っているのに、その指導をAIがやるってのは無理がありますよね。

 

根拠3

Google翻訳の限界からAI先生の限界を推測。

AIを使った翻訳、Google翻訳。これは今も世界中で使われて、どんどんAIが学習して進化してます。

確かに使い勝手は相当良くなりました。

しかし、上手く使うためには「日本語を正しく入力すること」、「変換する外国語の一定の理解がある事」が求められます。

わざとAIの弱点を突いてみましたが、この翻訳を見てみてください。

Hp128

わざと「訪ねる」を平仮名の「たずねる」にしました。

これは日本人ならば誰もが文脈から、「彼に会いに行って」という趣旨の連絡だと思うでしょう。

しかしAIはこう判断します。

Hp129

Please ask him

「彼に聞いてください」という趣旨に変わってしまいました。

AIは同音異義語の対応ができません。

思考が出来ないため、最も多く使われている「たずねる」の意味「ask」を選択しています。

普通に考えたら「たずねる」の前の助詞が「を」ならば「聞く」という変換はあり得ないのですが「助詞」もまたAIの弱点の一つですね。

また、これも意図的に行ったのですが日本語文を「たずねてみみてください」とミスをしました。

AIは入力ミスを自動的に最適化して検索します。これでは論述の採点は無理ですよね。

 

 

この3つの根拠から、私はAI先生とはどんなものか推測しました。

AI先生とはミスに対して「データとして蓄積した数多くの間違いのパターンから、即座に最適の克服方法を導き出す先生」

良さそうに聞こえますね。

しかい克服方法に当てはまる子はいいのですが、それに当てはまらない子はどうしましょう?

平均より極端に頭のいい子や、平均の指導ではついていけない子は対応不可能ですよね。

つまりAI先生の守備範囲は生徒の約50%程度であり、且つ思考力を鍛えるような学習プログラムは作れない。

超優秀な自習監督ですね。

しかしながら、自習監督として最も大事な要素が欠けてしまいます。

それは、「やらせること」です。

一番難しいのは「子供たちに熱を入れること」なんですよね。

AIに何を言われてもやる気になんてならないです。

結局は生の人間の実際の体験談や、先生として「君にはこうなる才能がある、こうなって欲しい」という情熱が子供たちを動かします。

以上が私のAI先生ってどうなのっていう問いへの答えになります。

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2023年2月 7日 (火)

公式はショートカット

たびたびこのブログで書いています「公式は問題を解くために絶対に必要なものではない」

そこそこ誤解を生むのですが、公式を使わないのではないのです。

公式の仕組みを理解するために、公式を使わないで解く訓練をするのです。

そうすると、思考力が格段に伸びます。

 

今日は余弦定理を使って説明をしますね。

そもそも余弦定理って何をしてるかわかってない子が多数ですよね。

何となく、「辺の長さを出す公式」的な。

 

では、問題はこれで行きましょう。

Hp124

BCを求めなさい。ただし余弦定理は使わない事。

下に解説書きますが、是非皆さんも挑んでみてください。

 

 

 

補助線を下の図の様に引きます。

なぜそう引くか。直角三角形があれば三平方の定理や特別な直角三角形の比が使えるからです。

ここまできたら中学生でも解けますね。

Hp125

三角形ABDは∠BAD=60°の直角三角形

したがってAD=3  BD=3√3

三角形CDBで三平方の定理より

BC²=(3√3)²+(3+10)²

  =196

BC=14

 

 

では余弦定理の解説

BC²=10²+6²-2×6×10×cos120°

  =100+36+60

  =196

BC²=14

補助線要らず。

つまり作図の訓練機会を逸する。

 

最後に余弦定理の仕組み。

実は最初の作図の式で作れます。

Hp126

∠BAD=180-θ

AD=AB・cos(180ーθ)

 =―AB・cosθ

BD=AB・sin(180-θ)

 =AB・sinθ

三平方の定理より

BC²=(AC-AB・cosθ)²+(AB・sinθ)²

  =AC²-2AB・AC・cosθ+AB²・cos²θ+AB²・sin²θ

  =AC²+AB²(sin²θ+cos²θ)―2AB・AC・cosθ

  =AC²+AB²-2AB・AC・cosθ

これで完成です。

 

つまり余弦定理って補助線で引いた三角形のそれぞれの長さを求める作業をショートカットして答えを出してるんです。

さて、これで余弦定理の仕組みが分りましたね。

今度余弦定理に出会ったら、意図して使わないで、作図で解いてみてください。

ちなみに数学検定準2級では、「余弦定理を使って」と条件を付けて途中計算を書かなくてはなりません。

こういう意図して「公式を使えますか」って言う問題もあるのでご注意を。

 

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2023年2月 4日 (土)

中学受験終了

今年も中学受験が終了しました。

まずは全員進学先が決まったことに安心です。

中学受験で一番大事なのは、しっかりと結果を残して終わる事です。

進学先を全員決めれたことが何よりうれしいです。

ちなみに第一志望合格率は50%でした。

 

さてここからは高校受験。個別ゼミWill鷺沼校は公立高校受験では4年間で不合格者を1名しか出してません。

今年も0で行きたい。チャレンジが3人もいる。。。あと2週間鬼コーチになるしかない。

 

そして並行して公立中学校の定期テスト対策。

ここはもう扱い方を中3受験生と同じでいきます。

 

最後に生徒募集状況ですが、おかげさまで中2と小5受験生がもうそろそろ定員になります。

もしかしたら、新年度での中3受験生の募集はしないかもしれません。

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