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2023年1月

2023年1月20日 (金)

共通試験数学ⅠA ③

ちょっとずつ時間を見つけて書いてます。

今日はなぜか共通試験に小学生の問題がでた大問4です。

ここまで来ると数学的技能より読解力問題になってしまい。本当の数学の力を測るのは不可能になってきますよね。

では行ってみましょう。

問題は縦110㎝、横462㎝の長方形を使って正方形を作る問題です。

これ、数字が大きいけど、小学校5年生の受験用ではない教材に同じ問題ありますからね。

Hp123

 

という事で、小学生に教える通り連除法で解いちゃいましょう。

ア~カまでは即解決ですね。

では次に文章で難しそうな雰囲気を無理やり作っているキ・ク「462の約数と110の約数を考えると」これが思考を邪魔する文ですね。

うっかり約数書いちゃった。笑。

気を取り直して

110a-462b

=22(21a-5b)

つまり差は22の倍数。

最少は22

21a-5b=1になるのはa=1 b=4

ということでキ・クはクリア

ここで、解き方とか考えてると絶対に解けませんよ。

整数の問題は数を小さくしていって、範囲を絞って、最後は数値を当てはめてみて解くんですから。

22が出たらやっと数学。不定方程式を解きます。

110a-462b=22

(計算は省略)

b=5k+19 (kは整数)

bは自然数なので

5k+19の最小値はk=-3の時4

462×4=1848

 

ス・セ・ソは再び小学校5年生の問題

110と154の最小公倍数。

連除法で770

 

さてここからが文章読解力を求められますね。

「文章の数式化」「文章の言い換え」

この2つを並行すれば問題なく解けます。

最初の2行が何を2行は特に問題なくできます。しかしここでなぜこの計算をしているのかわからないと二~ノが解けません。

言い換えると80点を目標の子は大問4は二~ノは解かなくて良いから、小学生の問題を解けばいいのです。

 

では満点を目指す子向けに、問題へのアプローチを書いていきます。

ここは問題の上にある2人の会話文を読解していく必要があります。

ここは数式化したほうが理解しやすい。

まずは縦の長さ。

既に770の倍数となっているため770pとします。

次に横の長さ。462の長方形をs枚、363の長方形をt枚とします。

すると462s+363tになります。

(枚数と比例定数の混同を避けるため、pとs・tとしてます)

正方形なので

770p=462s+363t

770p=33(14s+11t)

つまり一辺の長さは770と33の公倍数なので最初に最小公倍数である2310を求めているのです。

 

ここからはゴリゴリ計算。

2310k=33(14s+11t)

70k=(14s+11t)

70k-14s=11t

14(5k-s)=11z

5k-sは11の倍数かつ正の数なので

最小値5k-s=11と仮定して

k=3 s=4 で成り立つため

2310×3=6930

 

これでゴール

 

公式とか解き方に依存できないのが整数の問題の特徴ですね。

しかし、逆に言えば数を動かすことさえできれば何も暗記してなくても解けます。

このケ~シは今回の共通試験数学ⅠAでやっと出題された思考力問題ですね。

 

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2023年1月17日 (火)

共通試験数学ⅠA ②

昨日に続き共通試験数学ⅠAの話しです。

今日は「思考力モドキ問題」大問2(2)バスケットボールのリング通過問題

この問題は物理で重力加速度まで加味しながら求めるもっともっと難しい問題がありますよね。

なんなら打ちだした電子が円運動しながら既定の範囲を通過する問題なんてこれの100倍難しい。

 

という事で、先日は脱公式の話しをしましたが、今日は単元横断です。

私は高校2年生の進路指導で「私立理系」選択の生徒に理科1科目絞りはさせません。

勉強ってどの教科にも反映するんですよ。

私は今回の発想とは逆に、物理で数学の放物線や微積を利用します

(これは大学で物理を習っていれば当たり前の事なんですが)

 

では、共通試験の話しに入りましょう。

みなさんはぜひ問題を片手に読んで下さい。

まずは15行に及ぶ仮定。あえて太字しか読みませんでした。

ちなみにその前にも7行に及ぶバスケットボールの軌道(読んでも意味のない)に関する文があります。

「シュートの高さ」の定義は理解。

では問題へ。

Hp120

私が実際に解いた跡。とにかく計算もほとんどしてなくてもサクサクすすめましたね。

 

(1)は問題ないですね。

y=ax²+bx+cに2点(0.3)と(4.3)を代入。

式が2本できるから文字が2つ消える。

題意に従ってaだけ残せば簡単にできます。それを平方完成してキ~コまでクリア

(サ)は1ページを使った壮大な目くらまし。

ボールの軌道の放物線…つまりp<0がわかれば2-1/8pが2より大きくなることくらい即わかる。

Hp121

実際の私の解いた跡。解いた?ってくらい p<0しか書いていない。笑。

つまり(サ)の解答は②

こんな事に問題用紙1ページ使ってくるとは。

 

そして一見最大の難所の(シ)~(チ)…ですがかなりイージー

点Dは(3.8 、3+√3/15)

この座標にビビって負ける子多数。笑。

しかしそのまま代入します。

実際の予備校が出す解答は見てないからわかりませんが、もっと美しい解があるかもしれない。

しかし、私なら間違いなく、「これで計算しよう」と生徒にいうでしょう。

私が生徒によく言う事は「美しい解法は思いつくのが難しい、誰でも思いつく解法は計算が面倒くさい」

数学を公式に頼り手軽に済ませてきた子たちは、この数字を代入することにさぞ抵抗感はあるでしょう。

 

せめてわかりやすいようにC₁をy=ax(x-4)+3に変形して代入。

3+√3/15=a・19/5・(-1/5)+3

√3/15=a・(-19/25)

a=√3/15・(-25/19)

 =-5√3/57

これで(シ)~(ソ)クリア

 

次にタとチ

これも「え?」と思うかもしれませんが

y=ax²+4ax+3にx=2、a=-5√3/57を代入して√3=1.73を代入するだけ。

泥臭い計算の結果3.61となりますね。

問題文に√3=1.7320508になってるけど、有効数字ですよ。笑。

3.4より高く、差は0.21で…ここで仮定にボールの大きさを探しに行くと…0.2だから約1個分。

 

さて、思う事はこれは「思考問題なのか?」

単に不必要な言葉を並べ、不必要な式を求めさせ、面倒な計算をさせる。

学生特有の途中で汚い数字が出てきたら、「どこかでも違えている」と思い込む習性を突いた問題。

実際、無駄を排除したら、思考どころか、平方完成すら必要ないグラフに座標を代入していくだけの問題です。

 

最近痛感するのは、思考力が段々曲解しているということです。

思考力=国語力ではないはずですが、今回の問題は単なる国語力。

設問を長くして、受験生の気持ちを折りにきている。

その実、読むべきはたった数行であとは意味をなさない文章でした。

読解力なら国語で測ればいいんじゃないか?

 

思考力って私は

①仮定する力

②検証する力

だと思っています。

 

まあ、文句を言ってもしょうがない。

この手の問題をしっかりとクリアするうえでは、やはり過去問演習、類題演習では勝負できないですね。

脱公式数学が活きて来るんじゃないでしょうか。

 

 

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2023年1月16日 (月)

共通試験 数学ⅠA

さて共通試験が終わりました。

私はというと、いま中学受験と高校受験の対策に追われていて、じっくりと解く時間もなく、先ほど数学ⅠAのみ解きました。

今週中には全教科、解きます。

で、数学ⅠAの感想ですが、例年通りかなって感想です。

「思考力」っていう部分には相変わらず???

公式を使った方が難しくなるように出来てるって問題が数問あったかなって感じでしょう。

やっぱ「脱公式」だね。

高校1年生、2年生はもう解けるから、やった上で私が書くここからの解説を読んでほしいな。

 

では、今日は大問1。こちらはかなり易しい。私は所要時間6分。

相変わらず、ボールペンで解くスタイル。笑。

Hp118

 

(1)は「1-√3が負であることに注意すると…」と謎のワード。もう嫌がらせですね。笑。

公式マンはちょっと戸惑うかもしれません。

(公式的には|X|≦2 ⇔ -2≦X≦2 とやりますが)

はい、こんなワード無視ですね。

絶対値の中が正ならそのまま外す、負ならマイナス付けて外す。

この基本であとは平方根の有利化の計算問題と同じで中3レベル。

 

つぎに一見厄介そうな問題。

とりあえず展開するでしょう。

この問題のコツは③も展開しておくこと。

あとは①②と③の展開式を比較したら、①②の共通するadとbcが③式に無いことがわかるから①-②で消去してゴール。

もちろん、①-②して因数分解して③にたどり着いても良いけど、どっちが気が付きやすいかっていると全部展開してしまった形かな。

私は因数分解でゴールしましたが。

 

(2)これは驚異的に簡単な問題でした。

逆に勘ぐって手が止まる子もいるんじゃないかって問題。

作図できないとダメでしょうね。

題意を簡単にすると

「二等辺三角形OABの頂角の二等分線と底辺の交点をDとする」って事。

最近の子はこの「問題文を翻訳する」のが苦手な子が多いですね。

なんでかって?それは問題を咀嚼せずに公式に当てはめて解くのが数学だと勘違いしてるから。

ここからは絶句レベルで簡単。

直角三角形ODAの辺の比は5:4:3

∠AOD=θと置くと

∠AOB=2θ

円周角と中心角の関係により∠ACB=θ

つまり直角三角形ODAの三角比で答えが出ます。

(サ)sinθ=3/5  (シ)cosθ=-4/5

この時点で∠AOBと辺AB、半径5を使って正弦定理で解いた子は公式マン認定です。

高2の子、それはヤバいぞ。

でここからは私の答案があまりにも汚かったからホワイトボードに清書しました。

(板書もたいしてきれいではないのですが。。反省)

Hp119

面積最大は、ABに平行で円0の接線との交点をCとしたとき。

直線COが円と交わる点Cの反対側の交点をEと置いて

辺OE=5 辺OD=4 つまり辺ED=1

辺CEは円Oの直径だから10

辺CD=9

三角形CABの面積は

6×9÷2=27

見ての通り小5の問題を、文章と三角比で混乱させただけの問題。

中学受験生の小5の子でも解ける。

この問題で円周角と中心角の関係から半角の公式をつかった子は公式マン認定。

さらに、ACとCBの長さを求めて1/2CA・CD・sin∠ACBなんて解いた子は来年の共通試験は勝負できないよ。

今日はちょっとカッコよく言っておきます。

「公式に依存しないからこそ、公式を上手に使える」

脱公式数学。完成には1年かかる。

高校2年生は…もうリミットかな。

本来は小学生から「脱速さの公式」これがベスト!

 

では時間があるタイミングで大問2以降の解説も掲載していきます。

 

 

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2023年1月 8日 (日)

「わからない」となってからが数学だ!

個別ゼミWill鷺沼校では通常の学習指導はもちろん行いますが、他塾と違う部分は「わからない」ってなった時に行動できるように子供たちを鍛えていくことにあります。

当たり前ですが、入試で全問「わかる」って状態になる事は稀です。

高校入試では実際に全問「わかる」って状態を作れますが、それは範囲が狭いからであって、大学入試でその成功体験を持ち込むと大事故が起こります。

 

では「わからない」となった時に大事な事は何か。

例えば英語では絶対に単語の意味を調べない事です。

私の教室の英語指導に関しては今日は例だけでまた今度紹介しようとは思います。

 

今回はタイトルにもあるように数学。

具体的には「公式に依存しない解き方を練習する」ことにあります。

数学ができない子は大体が「先生、この問題はどの公式を使うかわかりません」と質問します。

私の教室に来たこの最初に教わることは、この公式依存の脱却です。

では問題を使って説明していきましょう。

2022年に実施された駿台模試の問題から…

Hp115

tan∠APBをXを使って表す問題。

公式云々にたどり着くまでの思考ではこんな感じ。

・三角形APBで辺ABが与えられ、辺BPは三平方の定理で求められる

・2辺しか分らず、角が一つも与えられてないから正弦定理・余弦定理は使えない

 

という事で私のブログ「数学のセオリー(2022年12月29日)」で書いた「知っている形に持ち込む」テクニック

Hp116

 

左下にθがあると見やすいですね。

ここで∠APB=S ∠BPC=Tと置いて

tan(S+T)=25/x  

tanT=5/x

ここまできたらtanS=yと置いてxを定数と考えて

tanの加法定理のyの方程式が見えてきます。

 

さて、ここでtanの加法定理使わずに解くぞってところからが私の授業。

もちろんtanの加法定理で解くこともします…が、問題を使って賢くなるが私の授業のモットー

 

そこそこのレベルの子は「sinとcosの加法定理は使っていいですか?」と質問してきます。

いい傾向です。

ではそのパターンだと

sin÷cos=tanの利用ですね。最後に分子分母をcosS×cosTで割って完了です。

これだけでも式を動かす能力がぐっとアップします。

しかし私はそれでは満足しない。

ここからはtanの概念を除くと中学生でも解ける解き方。

Hp117

求めたい∠APBを直接求めましょう。

tan∠APB=AQ÷PQ…①

三角形PCBと三角形AQBは相似です。

対応するAB=20 PB=√25+X²

なので相似比もわかり、BQ、AQの長さもわかります。

PQ=PB+BQで求めて①式に代入すれば答えになりますね。

 

ちなみにこの問題は数Ⅱの問題です。数Ⅱの知識を一切使いませんでした。

この演習により2つの力が付きます。

一つは「作図能力(知っている形に持ち込む)」

もう一つは「公式は思いつかなくても解き始めれる力」

 

公式主義の数学学習は限界があります。

今年はまず脱公式から始めてみてはいかがでしょう。

個別ゼミWill鷺沼校では小学生から「脱速さの公式」で徹底的に鍛えていきます。

 

 

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2023年1月 7日 (土)

なぜ塾の先生をやるのか

新年早々とあるところから「少子化で将来性のない業界にしがみついている理由は何でしょうか?」とめちゃくちゃ失礼な質問をされました。

しかもこれがもと同業者。

しかし、まあそういう質問を投げかけられると一瞬考えますよね。

そしてすっと頭に浮かんだのが、私の故郷、北海道出身のバンド、怒髪天の「ニッポン ラブファイターズ」の歌詞です。

是非聞いてみてください。笑。

 

なんでやっているのか…

まずは「業界の将来性」なんて全く考えてないですね(家族には申し訳ないけど。笑)

「将来性があるから働く」って楽しいのかな?

「将来性がある=安定してお金が稼げる」って事なのかな?

それとも「終身雇用が保障されている」って事かな?

どちらにせよ貧しい人生になりそうで嫌だな。

 

次に「少子化で将来性のない」

これもまったく的外れな論理ですね。

少子化…つまりは市場の縮小。ここまでは正しい。

しかし子供がいなくなるわけではない。

つまり、将来業界内でのシェア争いが激化し、中途半端なものから淘汰されていく。

それってすごく楽しくないですか?

どんどんと洗練されて、本物しか生き残れない業界になっていく。

「オラ、ワクワクすっぞ」

って書いてみたけど、それって日本のどの業界でも同じですよね。

少子化って、安易に「子供が減るから子供を扱う業態は厳しくなる」って考えがちだけど、その子供が10年したら、20歳になるわけで、そしたら20代を対象にしている業界が厳しくなって、その後10年後は…と結局人口減少により市場の縮小が起って、日本企業は海外に進出していかなくてはならなくなる。みんな覚悟して臨まねばならないだけです。その第一波が早いか遅いかの問題。

少子化=子供を扱う業界は将来性がないってのはちょっと皮相浅薄ですね。

 

とまあ、反論を書いてみましたが、ここから「なんで塾の先生をやっているのか」の核心を書きます。

 

それは「求められているから」です。

すこし自惚れたことを書きます。

私のもとに来なかったら、志望校に受からなかった子は何人もいます。

私のもとに来なかったら高卒で社会に出ていった子が何人もいます。

私のもとに来なかったら、学習障害ってレッテルを張られて、特別支援学級に進まされた子が数名います。

私は常に「俺がやらなきゃ誰がやる!(ニッポン ラブファイターズの歌詞)」の気持ちでいます。

 

私は好きな言葉が3つあります。

一つは高杉晋作の辞世の句

「おもしろくなき世をおもしろく」

面白くない世の中だって面白く生きてやる!これが大事。

外的要因(他人・時代)に嘆いても仕方ない。

もう一つはhideの曲「ROCKET DIVE」の歌詞

「何年待ってもなにも降って来やしないんだろ?」

自分で動かなきゃ何も始まらないんだ。

そして最後は海上保安庁の特救隊の心意気

「苦しい 疲れた もうやめた では人の命は救えない」

私が預かっているものは子供たちの人生です。つまりは命です。

 

どうでしょ。これでなぜ塾の先生をやっているかの答えになりましたかね?

色々書きましたが、結局のところ子供たちが好きなんです。

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