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2022年6月 3日 (金)

日本人の数学オンチ

「日本人の数学オンチ」

5月26日の東洋経済ONLINEの記事のタイトルの一部ですが、私もまったく同感でした。

非常に良い記事なので、リンクを張り付けておきます。

https://toyokeizai.net/articles/-/591895

 

記事の一部を抜粋します。

学習指導要領に沿った学びを進めるためには、どうしても、時間が足らないところが出ていると。時間などの制約で削られているのが、まさに図を書く練習などではないかと話す方もいました。

図形ができないということは、ただ図が書けないということだけではなくて、公理系に対する理解が弱くなると思います。

(公理系:命題を導き出すために仮定を置き思考する一連の流れ)

 

私が現場で指導をしてきて、子供たちが特に弱いと感じる部分が、実は「作図能力」と「仮定する力」なのです。

「仮定する力」は圧倒的に不足してます。

簡単に言うと説いたことのない問題は全く手が出ない。

「こう解くんじゃないか!?」というアイデアが浮かばない。

この「仮定する力」ころ昨今話題に出る「思考力」というものなのですが、教育現場ではこの「思考力」そのものの定義を間違ってとらえている気がします。

学校のテストや入試、市販の教材で出てくる「思考力」の問題は一見すると思考力ですが、その正体は「国語力」です。

文章読解と数学や理科を組み合わせた単なる「教科横断型問題」にすぎないのです。

これができるから「思考力」があるというわけではないのです。

「思考力」とは「仮説を立てた時に、ある事象を矛盾なく説明できる=仮説は正しい」といった公理を使った思考をすることです。

現役の高校生にわかりやすく言えば…例えば「背理法」が「思考力」なんです。

 

思考力を鍛えるための作業が「国語力」を鍛える作業に成り代わっていくと、これは危険な学習ですね。

私が最も思考力を鍛えるのに適している学習方法は、小学生に「花まる学習会」の『なぞぺ~』をやらせることだと思ってます。

『なぞぺ~』を手に取ってみればわかりますが、文章はほとんどありません。

一見すると「パズル」

しかしこの教材、しっかり「仮説を立てる」思考をしないと解けないようにできてます。

 

では中高生に最も適した思考力を鍛える学習をさせるには…

これこそが私が長年ずっと言い続けている「作図」なんです。

私は、どんな問題でも「作図できるなら作図しよう」と指導をしています。

「解けるから作図しない」がもっともダメな学習方法です。

解くことを目標にするから、数学オンチになります。

答えを出すことより、答えを出す仮定が大事なのです。

だから、私は公式学習もさせません。

 

最近子供の授業参観に行くと、「タブレットを使った調査系授業」が目立ちます。

どんどんノートの役割が減っていってる気がします。

タブレットは便利で、図は回転するし、調べたいものはすぐ調べられます。

この学校教育は必ず子供たちの数学の力=思考力を破壊するでしょう。

時代がそっちに向いているので仕方ないのかもしれませんが、だったらせめて「調査」の前に「予想=仮定」を挟んでほしい。

 

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