2022年度神奈川県入試数学問3(エ)
今年の入試で最も難しかった問題ではないでしょうか。
一見ハードでしたが、ちゃんと求めたいものにフォーカスすれば解けますね。
ひとまず、出版社が出す前に、2通りの解き方を載せておきます。
これが個別ゼミWILL鷺沼校の数学指導の秘訣ですが、常に複数解答を持っておくこと。
私は「持たせる」指導を常に心がけています。
最終的に大学受験で勝つためには必須のスキルになります。
今日の解説は問題3(エ)
問題文は神奈川新聞さんのサイトでご覧ください
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-822651.html
ではまず、この問題の急所から
この思考プロセスが最も大事なので覚えておいてください。
三角形BDFの面積を求める
↓
三角形BDAの面積を1/3にする
↓
三角形BDAの面積を求めるために直交する辺ADと辺BDを求める
↓
辺AD=√13で辺BDは求める事が出来ないため、辺BDを求めるために辺ABを求める
↓
辺ABを求めるために辺BCを求める
はい、これで思考プロセス終了。この問題は辺BCを求める問題なんです!
では、ここから分岐。
補助線を入れますが、セオリーとしては、すでにある辺の平行線を引きます。
では、これでどうでしょう。あとはひたすら三平方の定理を解きまくります。
AC//BGです。
ここでBC=Xとして
三角形BDGに注目して
BC=EG、ED=3より
DG=3-X GB=1なので三平方の定理より
DB²=(3-X)²+1²
=9-6X+X²+1
=X²-6X+10
三角形ABDに注目して、三平方の定理より
AB²=AD²+DB²
=13+(X²-6X+10)
=X²-6X+23
三角形ABCに注目して、三平方の定理より
AB²=AC²+CB²
=9+X²
∴X²-6X+23=X²+9
-6X=-14
X=7/3
あとは思考プロセスを逆戻り
AB²=9+49/9=130/9
BD²=130/9-13=13/9
BD=√13/3
三角形ABDの面積は√13×√13/3÷2=13/6
三角形BDFの面積は13/6×1/3=13/18(答え)
そして別解
こちらはあまりいい解ではないです。
私は方べきの定理を知っているからこの形を作りましたが、はっきり言って作図根拠に欠ける。
図のように線を延長すると三角形AEDと三角形BDGは相似になります。
これってかなり無理やりですよね。汗
AE:ED=BG:GDより
2:3=X:1
X=2/3
∴CB =3-2/3=7/3
あとは同じ解き方です。
【追記】
なぜ最初の解法の方が優れているのかの説明です。
別解に「作図の根拠がない」と書きましたが、私も色々やった結果できた図です。
根本には3つの辺の長さがわかっている三角形AEDと相似になり、かつ辺BDを含む三角形を探す過程でできました。
一方先にあげた解ですが、BC=Xと置いた瞬間から
①等式を作ってXを求める
②2つの直角三角形が共有する辺ABでそれぞれの三平方の定理から等式を作る
③DBをXを使って表す(AD=√13なので)
④三角形DFBは直角三角形ではないし相似の三角形も存在しない
この4点に於いて、BDを含む直角三角形を作る補助線を引くことが確定して、ここから2択で
「頂点Dから辺FBに垂線を引く」または「頂点Bから辺DFに垂線を引く」しかないのです。
そして「頂点Dから辺FBに補助線を引く」と三角形AEFとの相似は見えますが、辺EFと辺AFが長さ不明なため難しくなりそうな上、目当てのDBを含まない方の直角三角形なので、一旦優先は「頂点Bから辺DFに垂線を引く」方に決まる。
と論理立てて必然的にこの作図にたどり着くのです。
私は答えありきの解説はとても嫌いです。それは生徒の力にならない、場合によっては生徒の学習を「暗記」へ傾けてしまい、学力を低下させる。
そういった根拠から別解をあまり推奨してません。
ちなみに高校生であれば話は違ってきます。方べきの定理の証明を知っているため、即座にこの相似形を思いつくことができます。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 模試の活用(2025.04.24)
- 補助線②(2025.04.12)
- スペリングコンテスト開催(2025.04.10)
- 補助線(2025.04.08)
- 令和7年度 神奈川県公立高校入試 関数(2025.04.05)
最近のコメント