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2019年2月26日 (火)

脱「解き方」

私が先生をやっていてもっともよく生徒から聞く言葉
「先生、解き方がわからない」
この時生徒はほとんどが「1つの解法があって、それがわからない」という意味で言ってます。

この「解き方」という発想を抜け出さねば、初見問題に対応することが難しくなっていくでしょう。

今日は数学ⅠAの図形と方程式の問題を
①高校1年生の解き方
②中学3年生の解き方
③中学受験生(小学生)の知識を使って解く解き方
で解いて行きます。

河合出版から販売されている「理系数学の良問プラチカ」から

(このテキストかなり秀逸です。受験生は絶対に購入して解ききりましょう!)

平面上の3点 O(0,0) A(4,8) B(-2,11)を結んでできる⊿OABを点P(1,2)を通って面積を2等分する直線の方程式を求めよ。

まず、作図ですね。
これをしないと絶対にダメです。

Hp2

点Pは直線OP上にある事がわかりました。
点Pを通って面積を2等分する直線と直線ABの交点を点Qとします。

では①の解き方から

⊿OABの面積は1/2AB・AO・sin∠OAB
⊿PAQの面積は1/2AQ・AP・sin∠PAQ

ここで
sin∠OAB=sin∠PAQ
AP=3/4AO
なので

⊿PAQの面積は1/2AQ・3/4AO・sin∠OAB
=3/8AQ・AO・sin∠OAB

⊿OAB=2・⊿PAQより

1/2AB・AO・sin∠OAB=2・3/8AQ・AO・sin∠OAB
1/2AB・AO・sin∠OAB=3/4AQ・AO・sin∠OAB
1/2AB=3/4AQ
AQ=2/3AO


A(4,8) B(-2,11)を2:1に内分する点Qは(0,10)となり
直線PQはY=-8X+10


②の解き方は
等積変形を使います。作図はこうなります。
Hp4

⊿OABと面積の等しい⊿PARを作図して、ARの中点と点Pを通る直線を求めましょう。
まずは等積変形パートです。
直線PBの式はY=-3X+5
したがって直線ORはY=-3X
直線ABはY=-1/2X+10
直線ORと直線ABの交点Rは連立の解で(-4,12)

点Rが求まれば後は簡単ですね。
点ARの中点Qは(0,10)
直線PQはY=-8X+10

どうでしょう?中学生でも解けますね。
1次関数しか使っていません。


最後に③
これはあくまで中学受験の知識を使うだけであって、小学生に解けるという意味ではありません。
Hp6


点Qがどこになるかわからないので仮の線を引きました。
Y軸の色を薄くしたら見やすくなりましたね。
⊿APQの面積は⊿APQの面積のAP/AO×AQ/AB倍となります。
したがって、3/4×□=1/2
□=2/3
AQ/AB=2/3
AQ:AB=2:3
AQ:QB=2:1
したがって点Qは(0,10)
直線PQはY=-8X+10

どうでしょうか?
どれでも解けましたね。
解き方はまだまだ考えられます。
(注:プラチカには解き方①しか掲載されていません。)




つまり、この問題に決まった解き方なんかないのです。
私は高校生には常にこんな授業を展開してます。
必ず解答に載っている解き方しかできないと思い、一生懸命その解を覚えていたんじゃ、初見問題に挑むこと(大学受験を受ける事)は出来ないでしょう。

昔から「1冊の教材を徹底してやる」とか言われますが、私はあまり賛成できません。
その問題集の解き方に寄った知識しかつかないから。
個人的には「大学への数学」の美しい解法が好きです。
しかし、「チャート式」の堅実な解法が全て頭に入っていて初めていえる事でしょう。
欲を言えばそこにZ会の「チェック&リピート」そして今回紹介させていただいた「プラチカ」を完遂して、その解法の差を感じれたとき初めて大学受験へ挑む準備ができたと言える気がします。
と考えると、先は長いですね。
絶対に1年では完遂できません。

脱「解き方」
挑んでみてはいかがでしょう。

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