AI vs 教科書が読めない子供たち
東洋経済新報社から出版されている本です。
非常に面白かったです。
将来AIが仕事を奪う世の中になる。
これはすでに色々な雑誌・書籍で書かれていることです。
将来的に「読解力」を持たない人間は仕事がなくなるということですが、社会の流れを見ても単純労働の消失は加速的に進んでいます。
ついにアメリカでは「アマゾン・ゴー」という商品を持って出たら請求がくるという「レジ無しコンビニ」も開店しました。
日本には現在55404店舗のコンビニが存在しています(日本フランチャイズチェーン協会調べ)
最小でも24時間×2人体制は必要なので(首都圏だと常時3人以上はいますが最低限の数字で算出します)
求人大手のanの調べでコンビニの全国平均時給は905円
ということは年間で55404(店舗)×48(1日当たりのアルバイト時間)×365(日数)×905(時給)=8784億6366万2400円
この金額が家庭から消失します。
人類の歴史で市民階級に顕著な貧富の差が生まれたのは、産業革命以降。
産業革命によって人足を必要としなくなった産業が多くなり、資本家が人件費を必要としなくなり、持つものと持たざる者の差が激しく案りました。
今後、そういった「持つ者と持たざる者」の差がさらに顕著となります。
あくまでコンビニを例に話をしましたが、これが「受付業務全般に及んだら」、さらにフランチャイズの飲食業界のオートメーション化が進んだら…
話しを戻して、「教科書が読めない子供」はなぜ生まれるのか?
それは1つに本離れ。
私は巷に言われる「読み聞かせ」に関しては相当懐疑的です。
なぜなら、私が受け持つ生徒で教科書(問題文)を読めない子供の親御さんから「小さいころ読み聞かせしてたんですけどね」という話を頻繁に聞くからです。
きっと「読み聞かせ」も成功例はあるんです。しかし、あくまで「成功例」であって「失敗例」はあまり世に出ないものです。
ここで気をつけるべきは10年前一世を風靡した「東大生のノートは美しい」
いったいどこへ行ったんだ??
結局ある成功例をもとに「売りたい人」が乗っかって情報を操作(コマーシャル)して、あたかもそれが成功の近道の様にうたうマーケティングの罠にはまっただけなんですよね。
本を読ませるには、子供の知的好奇心を煽るしかありません。
「知りたい心」が本を読む原動力になります。
本来人間は「知への欲求」は本能として備わっているものだと私は考えます。
では「知的好奇心の減衰」原因はどこにあるのか。
私は「浅い年からの習い事」だと思います。
最近世の中には「天才少年(少女)」が増えてきた気がします。
福原愛にはじまり浅田真央、高梨沙羅、藤井聡太、池江璃花子などなど。
やはり、ここにもマーケティングの罠が張られていて「天才は小さいころからやっている。小さいころからやっていないと才能は開花しない」
確かにそうなのかもしれないですが、大事なことが欠落しています。
「才能が無かったら?」
私は水泳で全国大会まで出場する選手でした。ちなみに兄は全国大会で決勝常連の選手でした。同時期に始めましたので、私の方が2年若く始めましたし、同じスクールで同じコーチに教わりましたが、兄の方が大成しましたよ。笑。
そう、早く始めて開花するのは才能のある子だけ。
しかし、幼少期の子供に習い事をさせてお金を引っ張ろうとする企業が多く、天才少年の人生を掲げお母さんに「自分の子も」と期待させます。
幼少期に習い事をしている子の傾向で顕著なのは頭がそれ一色に染まります。
子どもは「アイデンティティを模索する生き物」です。
「自分は○○が得意」というのを持つと安心感が生まれます。
良い事ではありますが、反面他の事に対する興味が極端に減ります。
もちろん他の事に触れる機会も激減します。
また「プロのコーチ」は子供に指導をします。子供に考えさせるのではなく、そのコーチのコーチング技術で指導します。子供は考えるより体験して体に覚えさせていきます。
その工程で受動的な思考パターンに陥ってしまいます。
私はそうして子供たちの「知的好奇心を育む機会」をどんどん失わせた結果、本を読まない子供が誕生するのではないでしょうか?
この問題は根が深いです。指導する側も「根気」が必要です。
しかし、ここに真っ向から向かっていかねば、その子の将来に大きな影響を及ぼすと思うので、私も指導者として「教科書を読める子ども育成」は大きな課題として常に取り組んでいこうと日々研究しております。
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